Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”
「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際ニュースなどをテーマに、
大阪観光大学がお届けするWEBマガジンです。
記事を書いているのは大阪観光大学の現役の教授や学生たち。
大学の情報はもちろん、観光業界や外国語に興味のある方にも楽しんでいただける記事を定期的に公開していきます。
外国人との接し方、クールかホットか?
仕事柄いろんな国?地域に行ってきた。「どこの国が良かったですか?」とよく聞かれるが、正直どの国も面白かった。夏の北欧の明るい深夜3時のどんちゃん騒ぎ、どこまでも落書きの続くベルリンの壁、遠くにアフリカが見える南スペインの海、デキシーランドジャズの流れるニューオリンズ。「でも一番印象に残ったのはパプアニューギニアかなぁ」といつも答えている。
現地に行ったのは2008年7月といささか古い。パプアニューギニア政府観光局のファムトリップで、ナショナル?マスク?フェスティバルという国中の民族舞踊が集まる奇祭の取材だった。場所はニューブリテン島のラバウルで、鬼太郎の生みの親である水木しげるが戦争末期を過ごしたところ。フライトは成田空港から夜便のニューギニア航空で首都のポートモレスビーへ朝到着、飛行機を乗り継いで高地のゴロカへ。ここでまずマッドマンのパフォーマンスを見る。良質の珈琲豆の産地で美味しいコーヒーがいただける。スナップ写真を撮っていると子供も大人も寄ってきて、「是非俺を撮ってくれ」と言う(たぶん)。「お前はどこから来たんだ、何しに来たんだ」と聞いてくる(たぶん)。
次に旅のメインであるラバウルへ。火山の街なので灰で白っぽい。1日中かけてフェスティバルを取材していたが、会場で残念なことにデジカメを落として無くしてしまった。文章担当なので仕事上は問題ないが、一応事務局らしき人に落とし物として伝えた。すると、実行委員長(村長?)がステージに上がり、「日本から取材に来た人がカメラを落としたが誰か拾ってないか」と会場全員に聞いてくれる。それだけでも恐縮するのに、その委員長はしだいに激高し、「誰も拾ってないとは、どういうことだ。この村に泥棒がいるのか。それは村の恥だ」と大声で怒鳴り出す。祭りの最中にだ。観光局の案内兼通訳に「もうやめてくれ、もういいから」と頼む。そのうち警察がカメラを盗んだ少年を追いかけているという情報が入ってくる。結局は出てこなかったのだが、人との関わり方の熱い国だなぁと感じた。
その時期僕は観光庁を担当していて、訪日外国人観光客の受入接遇セミナーを開催したり接遇マニュアルを作っていた。ホストとしてどうおもてなしすれば、ゲストが満足するかということを観光関係者を集めて勉強会をしていた。日本のおもてなしは丁寧で気持ちいい。プロの精神だ。街には外国人観光客があふれているが、みんな質問には親切に答えている。でも旅の思い出に残るのはパプアニューギニアで出会ったような、いささか熱い関係かもしれない。
“日本人よ、クールジャパンもいいけど、ホットな気持ちも見せてくれ。”
写真1:マッドマンとの記念写真。
写真2:NATIONAL MASK FESTIVALのポスター。