Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”
「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際ニュースなどをテーマに、
大阪観光大学がお届けするWEBマガジンです。
記事を書いているのは大阪観光大学の現役の教授や学生たち。
大学の情報はもちろん、観光業界や外国語に興味のある方にも楽しんでいただける記事を定期的に公開していきます。
本の魅力を熱く語ろう ― 図書紹介バトル ―
2018年秋の大学祭(明光祭)。188体育学部が学部を挙げて初めて行った学術発表に「図書紹介バトル」があります。
これは、参加者が好きな本を持ち寄り、本の魅力をスピーチし、読みたいと思う本(チャンプ本)を投票して決める書評ゲーム「ビブリオバトル」の手法を取り入れ、実施したものです。188体育学部の1年生が参加しました。
今回は、この「第一回 図書紹介バトル」の模様をお伝えします。
「ビブリオバトル」には、個人が持ち時間5分で本を紹介するという公式ルールがありますが、「図書紹介バトル」では、4人から6人のチーム制で競いました。
「図書紹介バトル」に参加したのは、6つの「スタジオ」から11チーム58名で、参加学生の多くが学部に入って半年足らずの留学生。日本語力に差はあっても、学生全員が大会の出場者となり、大勢の人々の前で話す場を経験してもらおうとの思いから、チームを編成し、チーム単位で1冊の本を紹介するスタイルとしました。
毎週の「スタジオ」授業では、チームの中で「本の情報を話す」?「あらすじを話す」?「感想を話す」?「質問に答える」などの役割分担をした上で、話し合いと練習、2度のリハーサルを重ね、大会当日を迎えました。
当日の大会で紹介された本は以下の11冊です。
『ライト兄弟 ―大空への夢を実現した兄弟の物語 ―』冨塚清
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』押見修造
『1リットルの涙 ― 難病と闘い続ける少女亜也の日記』木藤亜也
『会いたくなったらいつでも会える』嘉成晴香
『ノルウェイの森』村上春樹
『変身』東野圭吾
『容疑者Xの献身』東野圭吾
『大阪ルール』都会生活研究プロジェクト[関西チーム]
『日本語多読ブックス』より「中国の悲しい恋物語 ―「孟姜女」「梁山伯と祝英台」」
『レベル別日本語多読ライブラリー』より「雪女」/「幸せな王子」
図書館で初めて手に取ったという本や漫画、母国語訳で慣れ親しんでいた小説、日本語学習者向けにリライトされた物語など、バラエティに富んだ本が紹介されました。
学部留学生のみで構成されたチームの発表では、質疑応答の際に会場から難問が出て、学生が頭を抱える場面もありましたが、チームのメンバーのみならず、他のチームの参加者までもが助け船を出し、苦笑いでその場を切り抜けるなど、和やかに大会は進行していきました。
全チームが発表を終えたのち、来場者全員で「いちばん読みたい本」に投票します。
優勝したのは、『大阪ルール』でした。
『大阪ルール』を紹介したチームは、まず、本全体の内容について触れてから、「エスカレーターの立ち位置は、右である」?「赤信号でも渡る」など、発表者一人ひとりが驚いたという大阪のルールとそのルールの背景を紹介していて、話の組み立てが上手く、興味をひき、聞きやすかったこと、また、発表者全員が大阪での生活を始めて間もない学生だったため、その感想に実感がこもっており、熱い思いが勝利につながったのではないかと思われます。
優勝した4名には、賞状と副賞の図書カードが贈られました。
大会終了後、観覧してくださった来場者の方々にご意見をうかがったところ、
「大勢の人の前で発表するのはむずかしいことだろう」
「特に留学生が母語以外の言語で発表する姿が素晴らしかった」
「(司会や質疑応答で)教員がかける言葉があたたかく、指導を受ける学生がうらやましい」
などの声が聞かれました。
(アンケートにご協力いただき、有難うございました。この場を借りてお礼申し上げます。)
参加した学生のアンケートでは、
「スタジオのメンバーで協力して発表することで、仲が深まった」
「他のチームの発表も聞けて、楽しかった」
「発表を聞いた人がわかりやすいように大きな声でゆっくり話すことができた」
「しっかり練習をしたのに、当日は緊張しすぎて、上手に発表できなかった」
「チームでいろいろ話して何を発表するかを伝えたら、一人ひとりの発表がよくなると思った」
などの意見がありました。
来年度も大学祭の企画として、「図書紹介バトル」を開催する予定です。出場者の学生にとっても、会場に足を運んでくださる観客の皆さまにとっても、満足のいく大会になればと願っております。ご期待ください。