Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”
「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際ニュースなどをテーマに、
大阪観光大学がお届けするWEBマガジンです。
記事を書いているのは大阪観光大学の現役の教授や学生たち。
大学の情報はもちろん、観光業界や外国語に興味のある方にも楽しんでいただける記事を定期的に公開していきます。
街歩きから感じること
私の趣味の一つは街歩きである。知らない街で地図を見ながら歩くのが楽しい。よく知っている街でも、歩いてみると新しい発見があって楽しいと感じる。歩きながら、街の雰囲気を眺めたり、街を歩く人々の様子を見たりする。方向を間違えて同じ道を引き返しても、あまり苦にならない。普段なら道を間違えると、とても損をした気になるのだが。
海外での最近の街歩きは、昨年のヘルシンキである。北欧というと、遠くて運賃も高いイメージを持っていたのだが、フィンランド航空で、10時間少しで関空から直行便でヘルシンキまで行けることもヘルシンキを選んだ理由の一つである。
ヘルシンキはおしゃれな街である。シンボリックな建物であるヘルシンキ大聖堂(写真1)やウスペンスキー寺院(写真2)があり、カフェや北欧雑貨の店が並び、街中を「トラム」と言われる路面電車が走る。2月で寒い時期ではあったが、街並みは美しく、人々の温かさに触れられる街であった。
写真1?ヘルシンキ大聖堂
写真2?ウスペンスキー寺院
5日間という短い滞在であったが、その間に何度か、現地の人に親切に道を教えてもらった。街中で地図を見ながら立ち止まって、友人と「あっちかな」なんて話していると、犬を連れた男性が“Where do you want to go?”と気軽に声をかけてきてくれた。郊外の雑貨店のアウトレットへトラムで出かけ、駅から少し迷い、ベビーカーを押した女性に聞いてみると、“Follow me.”とわかるところまで連れて行ってくれた。地下鉄の駅でどっちの路線かな、とキョロキョロしていると、ビジネスマン風の男性が“May I help you?”と声をかけてくれた。何度か海外の街には出かけているが、こんなに気軽に声をかけてもらったのは初めてであった。
日本は「おもてなし」の国と言われる。確かに飲食店や旅館などのサービスは行き届き、スタッフはしっかり教育されている。しかし、なんの利益もない一般の人々が、外国人に対して親切に声をかけるだろうか。フィンランドの人々のさりげない親切に触れ、「ホスピタリティ」とは何かを改めて考えさせられた。
どこかに行ったら、バスや車に乗って通り過ぎてしまうのはもったいないので、自分の足で歩いて、見て、感じてみると、いろいろな発見や考えさせられることがたくさんある。そこに住む人の生活も感じることができる街歩きがおすすめである。